RoHSという言葉をご存知ですか?製造に関連した仕事をされている方はご存知の方も多いと思います。ひと言でいうと、EU(欧州連合)で策定された「電子・電気機器における特定有害物質の使用制限」に関する取り決めのことです。現在、EU加盟国においては、一定基準以上の鉛や水銀、カドミウム、六価クロムなどを含む電子・電気機器を流通させることはできません。一般消費者としては、これらの有害物質が携帯電話やテレビ、パソコンなどから排除されるのは当然のことですし歓迎すべきなのですが、実際に製品を作っているメーカーはもとより、その下請け企業にとっては頭の痛い問題であることも事実です。
当社はバイオトイレ「サンツール」の他に、金型や特殊治具の製造工場を営んでおりますが、例えば最近では部品へのメッキでこのRoHS準拠という文字が図面に記入されていることが増えています。当社にはメッキ設備がありませんので、メッキは外注さんにお願いしているのですが、その品質は当然のごとく当社が保証しなければなりません。お客様によっては詳細な書類の提出が求められる場合もあるので、当然その分の手間が増えることになり、当社にも外注さんにも負担となります。安全な製品を提供するためには当たり前の作業なのですが、「なにもそんなことまで」という部分もあり、正直言って痛し痒しな部分もあります。
このような非常に細かい品質規制であるRoHSを、中国政府が自国用にリメイクして2007年3月1日に発効しました。基本的な内容はEUのRoHSと似たようなものなので、中国内の製造業は厳しい対応を迫られています。
ご存知の通り、中国はエネルギー消費大国です。電気や鉄鋼などはその代表格ですが、例えば中国の一般市民は「節電」という省エネ行為からは無縁の日常生活を送っているように私には思えます。それは日本の昭和30年代と同じように、GNPがうなぎのぼりで上昇するなかで、省エネよりも生産増大を重視しているからだと思います。中国にとって不運だったのは、40~50年前は世界中の多くの人が「エネルギーの効率的な消費」などを気にもせずに、とにかく車や船舶、電化製品などの生産を増大することに集中できたのに対して、現代ではそのような生産行為は「不都合な真実」になってしまっている点です。
先日閉幕した全人代でも中国政府はエネルギー効率の向上、環境保護を今後の政策の重要テーマに挙げていましたが、その理念が一般国民に浸透しているかというと非常に大きな「?」です。国民が豊かになるためにはGNPを増やさねばならず、もちろん国民もそれを望んで日々一生懸命に働いています。一方では省エネや環境保護も強化せねばならず、これはある意味、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものです。
中国版RoHS規制もこのような政策の一環として策定されたのでしょうが、果たしてそこまで踏み込んだ環境対策が現時点で必要か?絵に描いたもちになってしまうのでは?との気持ちが拭い去れません。このような先進的な規制を導入するよりも、国民に分かりやすい政策を草の根レベルで発展させていった方が、より先進的だと思うのは私だけでしょうか。例えば、「今すぐ水洗トイレを廃止して、今後すべてのトイレをバイオトイレにし、中国を世界一水がきれいな国にする」とか。そうなると嬉しいですね~。




